トップページへ 理事長あいさつへ お知らせへ 瀬戸内里海振興会についてへ 活動報告 案内へ 会員のページへ こども博士へ
 
活動報告

底質改良材による漁場環境改善実証試験

目的    
 
 山口県田布施町馬島地先の海域において、底質改良材(Hiビーズ)を用いた底質改良試験区の造成を行い、これによる漁場環境改善効果把握のための試験を実施しています。
 モニタリングについては、水産大学校生物生産学科の須田教授、村瀬講師に委託しております。
 
試験場所   山口県田布施町馬島東部地先海域
 
地図1
 
地図2
 
試験期間   平成14年2月から (試験区の造成:平成14年3月)
 
試験内容   水質、底質、底生生物(マクロベントス、メガロベントス)、魚類
 
Hiビーズの概要  
 
 Hiビーズとは、火力発電所で石炭を燃焼させ電気エネルギーをつくりだした後に、副産物としてできる石炭灰を主材としたリサイクル製品で、赤潮などの原因となる富栄養化物質の吸着効果を持つなど、環境に優しい海砂代替材です。
Hiビーズの基本配合
石炭灰(FA)
セメント(C)
ベントナイト(B)
87%
10%
3%
(FA+Cに対し)
20〜24%
(FA+C+Bに対し)
 
Hiビーズの物理特性
試験項目

数値

造粒物の形状

ほぼ球状

自然含水比 Wn(%)

11.6

単位体積重量 (t/m3)

1.60(飽和状態)

吸水率 (%)

16.4

スレーキング率 (%)

0.21

平均粒径 (mm)

7.5

圧潰強度 (MN/m2)

7日:1.069

28日:1.606

内部摩擦角 φ(deg)

47.6(6Ec)

透水係数 k(cm/s)

1.34×10-3(6Ec)

 
Hiビーズ
 
Hiビーズ製造プラント
Hiビーズ
 
Hiビーズ製造プラント
 
状況写真1  
 
設置前の状況(陸上仮置き状況)
設置前の状況(陸上仮置き状況)
 
Hiビーズ散布状況
Hiビーズ散布直後の海底状況
Hiビーズ散布状況
Hiビーズ散布直後の海底状況
 
設置後の状況  
(モニタリング調査結果)
 
底質  
 
 Hiビーズによる底質改良区域と比較対照区域において、Hiビーズ散布前(平成14年2月)およびHiビーズ散布後3ヶ月〜57ヶ月(平成14年6月〜平成18年12月)に計11回、底質を採取し分析を行いました。
 分析結果から、対照区は貧酸素水塊形成の原因となる有機物含有量の多い底質状況であるのに対し、改良区ではHiビーズ散布以降、現在に至るまで有機物の溶出が抑制されており、良好な底質状態が保たれています。
 
COD
硫化物
T-N
IL
 
底生生物
 
 
 底質同様に実施した底生生物の調査結果では、対照区に対し、改良区の底生生物種数および個体が上回っており、散布後57ヶ月時点(平成18年12月)で種数が1.2倍、個体数が1.1倍となっています。
 
種数
個体数
 
魚類
 
 
 Hiビーズによる底質改良区域と比較対照区域において、それぞれの実験区域を横切る延長100mの刺し網による漁獲調査を、散布後〜23ヶ月(平成14年3月30日〜平成17年2月17日)までの期間に32回実施しました。(刺し網実施機関:田布施漁業協同組合)
 その結果、改良区は対照区と比較して魚種はほぼ同程度でしたが、漁獲尾数は1.7倍でした。
 
Hiビーズ改良区
順位
魚種
尾数
チダイ
56
カワハギ
49
マコガレイ
34
コノシロ
33
マダイ
21
 
その他37種
129
合計
42種
322
 
比較対照区域
順位
魚種
尾数
チダイ
30
マコガレイ
25
コノシロ
22
タマガンゾウビラメ
18
カワハギ
17
 
その他36種
76
合計
41種
188
 
 
状況写真2
 
 
Hiビーズ散布7ヶ月後の状況
Hiビーズ散布33ヶ月後の状況
Hiビーズ散布7ヶ月後の状況
Hiビーズ散布33ヶ月後の状況
(マダコの巣穴)
 

もどる



Copyright (C)2004 瀬戸内里海振興会 All Rights Reserved